摂食嚥下障害の訪問診療|「口から食べる」を歯科から支えます 東京・自由が丘/世田谷|ご予約 03-6459-7970
お役立ちコラム

高齢者の口腔ケアはなぜ大切?誤嚥性肺炎の予防と毎日のケアのコツ

高齢者の口腔ケアはなぜ大切?誤嚥性肺炎の予防と毎日のケアのコツ

「歯みがきを嫌がるようになった」「入れ歯を外したがらない」「自分でうがいができなくなってきた」——ご高齢のご家族の介護をされている方から、お口のケアについてのご相談をいただくことがあります。毎日のことだけに、これでいいのかと迷いやすいところです。

高齢期のお口のケア(口腔ケア)は、むし歯や歯周病を防ぐためだけのものではありません。誤嚥性肺炎の予防や、食べる力を保つことにもつながると考えられています。ここでは、なぜ大切なのか、毎日のケアで押さえたいポイント、うがいができない方のケアで気をつけたいことを、東京都世田谷区・自由が丘エリアの go-en.デンタルクリニックがご説明します。

高齢期の口腔ケアが大切だといわれる理由

お口の細菌と、誤嚥性肺炎のつながり

日本呼吸器学会は、口の中の清潔が十分に保たれていないと肺炎の原因となる細菌が増えること、そして飲み込む力や咳の反射が弱まることで、その細菌が気管から肺へ吸い込まれて肺炎を起こすと説明しています。病気そのものの仕組みや症状は誤嚥性肺炎とは?原因と症状、お口のケアでできる予防のことでご説明していますので、ここではケアの側から見ていきます。

同学会は、誤嚥性肺炎の治療について、抗菌薬による薬物療法を基本としながら、同時に口腔ケアの徹底と嚥下指導も重要としています。日本歯科医師会が紹介している研究でも、全国11か所の老人ホームで比べたところ、歯科医師や歯科衛生士が積極的に口腔ケアを行ったグループのほうが、25か月間の肺炎の発生率も、肺炎による死亡者数も低かったと報告されています。お口を清潔に保つことは、誤嚥性肺炎の予防につながると考えられています。ただし、あらわれ方には個人差があり、結果を保証するものではありません。

「食べる力」を保つことにもつながります

お口の働きは、栄養をとることだけでなく、話す・笑うといった生活そのものを支えています。厚生労働省の健康情報サイトでは、かむ・飲み込む・話すなどの働きが複数低下した状態(オーラルフレイル)にあてはまる高齢者は、そうでない方と比べて、身体的フレイルやサルコペニア、要介護状態などのリスクが高いことが国内の大規模な研究で示されている、と紹介されています。お口の変化は、全身の衰えより先にあらわれることが多いともいわれています。

日々のケアは、目の前の汚れを落とすだけでなく、こうした変化に早く気づくきっかけにもなります。

毎日のケアで押さえたい3つのこと

1. うがいだけでは落とせない汚れがあります

歯や入れ歯、お口の粘膜には、細菌のかたまり(バイオフィルム)が強い粘着性をもって付着しています。日本歯科医師会は、これはうがいでは壊せず、歯ブラシなどで物理的にこすり落とす必要があると説明しています。粘膜についた汚れには、スポンジブラシやガーゼを使います。

お口の中は、汚れていても気づきにくい場所です。生活に何らかのお手伝いが必要になってきたら、ご本人任せにせず、仕上げを手伝う前提で考えていただくとよいと思います。

2. 入れ歯は「外して洗う・水の中で保管する」

入れ歯は食後に外して清掃し、原則として就寝時は外して粘膜を休ませます。外したあとは、必ず水の中で保管してください。プラスチックの部分は乾燥すると変形することがあるためです。入れ歯にも細菌のかたまりは付着しますので、一般には入れ歯専用のブラシで洗います。

合わなくなった入れ歯を我慢して使い続けると、噛める食品が減り、食事の内容が偏ることにもつながります。痛みやゆるみがあるときは、早めにご相談ください。

3. 舌・粘膜のケアと、お口の乾燥

歯だけでなく、舌や頬の内側、上あごの粘膜にも汚れは残ります。舌の表面は傷つきやすいため、一般には専用のブラシやスポンジで、奥から手前へやさしく動かす程度にとどめるとされています。強くこすらないことが大切です。

また、加齢やお薬の影響でお口が乾きやすくなる方もいます。乾いた状態では汚れが張りつきやすく、ケアもしにくくなります。保湿剤を使う場合は、乾いて残った保湿剤の上から塗り重ねると固まってしまうことがあるため、古い保湿剤や汚れを取り除いてから使います。どの程度のケアが適しているかはその方の状態によって変わりますので、迷われるときはかかりつけの歯科にご確認ください。

うがいができない方のケアで気をつけたいこと

はがした汚れを飲み込ませない工夫を

ここは特に注意が必要なところです。歯ブラシでこすり落とした汚れは、うがいをすることで外に出せますが、うがいができない方の場合、はがれた汚れをそのまま飲み込んで(誤嚥して)しまうおそれがあります。日本歯科医師会は、これを「口腔ケア関連性肺炎」と呼び、汚れを喉の奥に落とし込まない配慮と、速やかに外へ出す配慮が必要だと説明しています。ポイントとして挙げられているのは次の3つです。

  • 水や洗浄剤を多く使わない……水分の多いスポンジを使ったり、洗浄のために多量の水を使うと、水分が喉に落ち込みやすくなります
  • 頸部を前屈させる(あごを引いた姿勢にする)……上を向いた姿勢は、汚れた水が喉に流れ込みやすくなります
  • 歯ブラシをこまめにすすぎ、拭き取りながら行う……コップの水で歯ブラシをすすぎ、口腔ケア用のウェットティッシュなどで粘膜を拭き取りながら進めます

ご家族だけで判断が難しいときは、無理に進めず、一度ご相談ください。その方の飲み込みの状態に合わせて、やり方をお伝えできます。

お口の働きを保つケアも大切です

「汚れを取るケア」と「動かすケア」は両輪

口腔ケアには、汚れを取り除くケアと、お口の働きを保つケアの両方があります。厚生労働省の健康情報サイトでも、舌や唇、頬の動きを保つ口腔体操を続けること、多様な食品を食べること、人と交流して口を動かす機会を増やすことが挙げられています。

食事の前に少し口や頬を動かしておく、食卓で会話する時間をつくる——といった短い習慣でも構いません。毎日続けやすい形にすることのほうが大切です。なお、こうしたケアの効果のあらわれ方には個人差があります。飲み込みの働きそのものについては、摂食嚥下障害とはのページもあわせてご覧ください。

ご家庭のケアと、歯科によるケアの役割分担

届きにくいところは歯科にお任せください

毎日のケアはご家庭や施設で、届きにくい部分や専門的な清掃は歯科で——という役割分担が現実的です。歯科医師・歯科衛生士による専門的なお口のケアは、医療保険や介護保険を利用して、ご自宅や施設に訪問して行うこともできます。当院の場合、保険での訪問診療は世田谷区を中心とした近隣エリアが対象です。

高齢期は「歯の根のむし歯」にも注意

高齢期は、歯ぐきが下がって歯の根の部分が露出し、そこからむし歯になりやすいという特徴もあります。根の部分のむし歯は進行すると歯が折れてしまうこともあるため、痛みが出てからではなく、定期的に確認しておくことが望まれます。保険の範囲で行える訪問診療・口腔ケアについては、保険の摂食嚥下診療のページをご覧ください。

まずはご相談ください

お口のケアは、毎日続くものだからこそ、ご家族だけで抱えると負担が大きくなりがちです。「やり方がこれでいいのか分からない」「嫌がってしまってできない」という段階でのご相談で構いません。ご本人・ご家族はもちろん、施設のご担当者やケアマネジャーさまからのご依頼も承っています。

当院は、誤嚥性肺炎に長年向き合ってきた歯科医が担当し、一般社団法人 日本誤嚥性肺炎予防協会に加盟しています。東京都世田谷区・自由が丘エリアで、ご家族のお口のことにお困りのときは、まずはご相談ください。

よくあるご質問

口腔ケアはうがいだけでは足りないのですか?
歯や入れ歯、粘膜に付着した細菌のかたまり(バイオフィルム)は強い粘着性があり、日本歯科医師会はうがいでは壊せず、歯ブラシなどで物理的にこすり落とす必要があると説明しています。粘膜にはスポンジブラシやガーゼを用います。うがいは、こすり落とした汚れを外に出すための仕上げとお考えください。
入れ歯はどのように手入れすればよいですか?
食後に外して清掃し、原則として就寝時は外して粘膜を休ませます。外したあとは必ず水の中で保管してください。プラスチックの部分は乾燥すると変形することがあるためです。入れ歯にも細菌は付着しますので、一般には入れ歯専用のブラシで洗います。痛みやゆるみがあるときは我慢せずご相談ください。
うがいができない家族にも口腔ケアをして大丈夫ですか?
できますが、こすり落とした汚れを飲み込んでしまわないよう配慮が必要です。日本歯科医師会は、水や洗浄剤を多く使わない、頸部を前屈させる(あごを引いた姿勢にする)、歯ブラシをこまめにすすぎ拭き取りながら行う、という3点を挙げています。ご不安なときは無理に進めず、飲み込みの状態に合わせたやり方をご案内しますのでご相談ください。
本人が嫌がってケアをさせてくれません。どうすればよいですか?
一度に全部を終わらせようとせず、短時間に区切る、慣れた方が行う、声をかけながら進めるといった工夫で続けやすくなることがあります。原因が痛みや入れ歯の不具合、お口の乾燥にあることもあります。対応の仕方は状態によって異なりますので、ご家族だけで抱えず一度ご相談ください。
Contact

「口から食べる」を、
あきらめる前にご相談ください。

むせる・飲み込みにくい・食事の時間が長くなった——摂食嚥下障害の訪問診療について、まずはお気軽にお問い合わせください。
ご予約・ご相談は、お電話または相談フォームから承ります。

※ お電話は 080-7493-8300(携帯)でも承ります。