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誤嚥性肺炎の予防と食事の姿勢|椅子の座り方・ベッドの角度・食後の過ごし方

誤嚥性肺炎の予防と食事の姿勢|椅子の座り方・ベッドの角度・食後の過ごし方|go-en.デンタルクリニック

「食事のたびにむせるので、座り方を見直したほうがいいと言われた」「ベッドの上で食べさせているけれど、この角度で大丈夫なのか分からない」——ご家族や施設の方から、食事の姿勢についてこうしたご相談をいただくことがあります。

食べ物や飲み物が誤って気管に入る「誤嚥(ごえん)」を減らす工夫として、食事のときの姿勢は、ご家庭でも見直しやすいポイントの一つです。この記事では、椅子・車椅子・ベッドの場面ごとに、公的な医療機関や学会の資料で示されている姿勢の考え方と、食後の過ごし方を、摂食嚥下障害の診療を主軸とする東京都世田谷区・自由が丘エリアの go-en.デンタルクリニックが整理してご説明します。なお、ここでご紹介するのは一般的な目安です。適した姿勢は飲み込みの状態や体の状態によって一人ひとり異なりますので、実際の調整は担当の医師・歯科医師やリハビリ・看護などの専門職にご相談ください。すでに医師・歯科医師や言語聴覚士などから姿勢や食べ方の指示を受けている方、胃ろうなどを併用している方は、この記事の目安よりもその指示を優先してください。また、食事中や食後に息が苦しそう・顔色が悪いなど急な異変があるときは、姿勢の見直しよりも先に、ためらわず救急要請(119番)を含めた速やかな受診をお願いします。

なぜ食事の姿勢が誤嚥と関係するのか

食事は「食べ物を認識する」「口へ運ぶ」「噛む」「飲み込む」という一連の動作でできています。どのような姿勢でこの動作を行うかは、食事を安全に、そして楽しく続けるうえで大きな要因になります。

あごが上がると、のどが「空気の通り道」の形になります

独立行政法人福祉医療機構が運営する福祉・保健・医療の情報サイト(WAM NET)に掲載された理学療法士によるコラムでは、背中が曲がっている方が顔を上げると、あごを突き出した格好になることが説明されています。これは人工呼吸を行うときの気道確保の姿勢、つまり空気が通りやすい姿勢で、誤嚥しやすいので注意が必要とされています。

「背筋が丸くなってきた」「食卓をのぞき込むように食べている」というときは、あごの角度にも目を向けてみてください。

足で踏ん張れないと、体を支えにくくなります

同じコラムでは、箸や皿を持ったり顔をテーブルに近づけたりする食事の動作は、重心を前へ移す動きになるため、腹筋や背筋の力に加えて足の踏ん張る力が必要になると説明されています。力を入れやすくするためには、椅子やテーブルを適切な高さに調整することが重要だとされています。見た目には背筋が伸びていても、足元が安定していないと、食事の後半に姿勢が崩れてくることがあります。

当院の実例でも、上半身の姿勢は整っていたのに、足が床についていなかったことに着目したケースを「食事の姿勢は良い」のにむせていた ― 食卓ではなく「足元」から見直した誤嚥性肺炎予防でご紹介しています。

椅子に座って食べるときの姿勢

基本の姿勢の目安

国立病院機構 兵庫中央病院 リハビリテーション科の資料では、食事の姿勢として次のような目安が示されています。

  • 背筋を伸ばしてあごを軽く引き、やや前かがみ
  • 背もたれのある椅子に深く腰かける
  • 椅子の高さは膝が90度に曲がる程度
  • テーブルの高さは、腕を乗せてひじが90度に曲がる程度
  • 体とテーブルの間はこぶし1つ分くらい空ける
  • 足は床につける

同じ資料では、食事で気を付けたいこととして、テレビを見ながらなどの「ながら食事」をやめる、急がずゆっくり食べる、少量ずつ口に入れてよく噛む、口の中のものを飲み込んでから次のものを口に入れる、といった点も挙げられています。姿勢とあわせて、食べ方も見直してみてください。

車椅子のまま食べるとき

先ほどの WAM NET のコラムでは、車椅子で食事をする場合、フットサポートに足を乗せたままだと食事の動作の際に重心を前へ移しにくくなるため、足をフットサポートから下ろすことが勧められています。

また、一般的な車椅子の座面は前方がやや高く傾斜しているため、筋力の弱い高齢の方や麻痺のある方には、通常の椅子よりも重心を前へ移すことが難しくなり、食事が大変な作業になることがあるとされています。その場合は、食事のときだけでもクッションなどで座面を水平、あるいは前方がやや低くなるように調整すると食事の動作が楽になること、食事のときは安定した椅子(肘掛けのついたもの)に座り直すのもよいことが紹介されています。

ただし、座面を調整すると体が前へずり落ちやすくなる場合があり、立ち上がりや移乗に介助が必要な方、体が傾きやすい方の場合は、座り直しそのものに転倒などの危険が伴うこともあります。座面の調整や座り直しをするか、どの椅子でどのように座るのがよいかは、ケアマネジャーやリハビリの専門職とご相談のうえで決めてください。施設で車椅子の座り方を調整した例は施設での実例でもご紹介しています。

ベッドの上で食べるときの姿勢

背もたれは30〜60度が一つの目安

椅子に座ることが難しく、ベッドの上で食事をとる方もいらっしゃいます。兵庫中央病院の資料では、ベッド上で食事をとる場合の注意点として、次のような点が挙げられています。

  • 背もたれが30〜60度になるように上げる(適した角度は一人ひとり異なり、体調によっても調整が必要な場合があるので、専門職と相談する)
  • 首が後ろにそらないように、頭に枕やクッションを使う
  • 麻痺などがある場合は、枕やタオルなどを利用して体が傾かないようにする
  • 足がずり下がらないように、足の裏にクッションをあてがう
  • 膝は軽く曲げた状態になるよう、ベッドの折り目に膝を合わせるか、膝の下にクッションを入れる
  • 腰はベッドの折り目にきっちり合わせる

背もたれを起こすと腰が下にずれることがあるので、一度上に引き上げるようにとも書かれています。ずり落ちた状態のままだと、首やあごの角度も変わってしまいます

「倒すほど安全」「起こすほど安全」とは限りません

日本摂食嚥下リハビリテーション学会の「訓練法のまとめ(2014版)」では、背もたれを倒した姿勢(リクライニング位)について、嚥下障害が重度になるほど水平に近く倒したほうがよい傾向があるものの、単純な一般化は危険であるとされています。倒すことで首や体の筋肉に緊張が出て飲み込みが不安定になる、頭や首がそり返る、舌の付け根がのどの奥へ落ち込んで呼吸に障害が出る、といった理由で、かえって飲み込みが悪くなるケースもあると説明されています。

同じ資料では、水平やそれに近い姿勢では、処理できる量を超えた食べ物や水分がのどへ流れ込みやすくなり危険であることにも触れ、角度を変えての嚥下造影検査や、それぞれの角度での飲み込みの様子の観察によって、一人ひとりに適した角度を判断するとしています。角度は、ご家族の判断で大きく変えず、担当の医師・歯科医師や専門職と相談して決めていただくものです。

介助する人の位置でも、あごの角度は変わります

兵庫中央病院の資料では、介助する人が立ったまま上から食べ物を運ぶと、食べる方が斜め上を見ることになり、あごが上がって誤嚥しやすくなると説明されています。介助する人が座って視線の高さを合わせると、頭の位置がまっすぐで少し下向きになり、飲み込みやすくなるとされています。食べ物がよく見えるため食事に集中しやすく、介助する人も食事の様子を観察しやすくなる、という利点も挙げられています。

食後の過ごし方も見直してみてください

食後すぐに横にならない

誤嚥は食事中だけの問題ではありません。日本老年医学会が専門医制度の事例集で示している症例の検討では、食後はすぐに横にならないように指導し、消化液の逆流を予防することが挙げられています。同じ事例では、便秘も消化液の逆流の要因となり、誤嚥に関連するとして、そのコントロールをはかることにも触れられています。

どのくらいの時間、体を起こしておくのがよいかは、全身の状態や持病によって異なります。主治医などとご相談ください。食後の姿勢や就寝時の姿勢を見直した例は、胃食道逆流と就寝姿勢を見直した実例でご紹介しています(その方の状態に合わせた個別の例です)。

寝る前のお口のケアもあわせて

兵庫中央病院の資料では、夜間に咳き込む方や痰がからむ方は、就寝中に唾液などの分泌物が気管に入りかけたり、胃食道逆流が起きたりしている可能性があるとして、就寝前に口腔ケアを行うことで感染予防に努めるよう呼びかけています。お口のケアの進め方は高齢者の口腔ケアはなぜ大切?誤嚥性肺炎の予防と毎日のケアのコツでご説明しています。

食事の姿勢を整えること、お口を清潔に保つこと、食後の過ごし方に気を配ることは、誤嚥性肺炎の予防につながると考えられています。ただし、あらわれ方には個人差があり、結果を保証するものではありません。

姿勢を整えてもむせるときは

こんな様子があれば、ご相談ください

姿勢は大切な要素の一つですが、それだけで飲み込みの問題がすべて解決するわけではありません。兵庫中央病院の資料では、飲み込みに関する次のような自覚症状が挙げられています。

  • 食事中によくむせる
  • 食事中や食後によく咳が出る
  • 食べ物がのどにつかえる感じがする
  • 飲み込んだ後も、口の中に食べ物が残っている
  • 食後に声がかれたり、ガラガラ声になったりする
  • 体重が減った

また、むせや咳が目立たないまま誤嚥していることもあります(不顕性誤嚥)。気づきにくいサインについては不顕性誤嚥(むせない誤嚥)とは?原因と気づきにくいサイン・予防のことで、飲み込みのしくみそのものは摂食嚥下障害とはのページでご説明しています。

なお、食事中や食後に息が苦しそう、声が出ない、顔色が悪い、ぐったりしているといったときは、姿勢の問題として様子を見るのではなく、ためらわず救急要請(119番)を含めた速やかな受診をお願いします。

歯科でお手伝いできること

当院は摂食嚥下障害の診療を主軸としています。食事の姿勢についてのご相談では、次のような点を確認します。

  • 飲み込みの様子——訪問診療では、実際に食べる・飲む場面を拝見したうえで評価します
  • 食事の環境——椅子やテーブル、ベッドの角度、介助する方の位置など、ご自宅や施設での「いまの食べ方」
  • 一口の量と食事の形——姿勢とあわせて見直せること
  • お口の状態——歯や入れ歯の具合、口の中の乾きや汚れの残り方

椅子や車椅子の調整、体の動かし方などは、医師やリハビリの専門職、ケアマネジャーと役割を分けて進めることもあります。必要に応じて、当院で確認した飲み込みの状態を情報としてお伝えしながら連携します。なお、診療の効果や改善のあらわれ方には個人差があり、結果を保証するものではありません。

通院が難しい方には、訪問診療という方法があります。健康保険による訪問診療は世田谷区を中心とした近隣エリア、自由診療(自費)による訪問診療は東京都・神奈川県の全域が対応の目安です。ご自身で通院できる方は、外来(完全予約制)でも承っています。

自由診療(自費)は公的医療保険が適用されず、全額自己負担となります。自費の嚥下診療(訪問)は、ご自宅・施設へ伺って摂食嚥下の評価、嚥下訓練とご本人・ご家族への指導、お口のケアを行うもので、初回22,000円(税込)・2回目以降16,500円(税込)、標準的な4〜6回の場合、期間はおおよそ3か月程度・総額71,500円〜104,500円(税込)程度が目安です(別途、交通費の実費をいただきます)。嚥下健診(デンタルドック)は、飲み込み・お口の状態を確認し、結果にもとづくご説明・今後に向けたアドバイスを行う健診で、16,500円(税込)・当日1回で完了し、回数の目安は1回です(ご自宅・施設へ伺って受けられる場合は、別途 交通費の実費をいただくことがあります)。評価や訓練の際にまれにむせ込み・一時的な疲労・不快感が生じることがあり、全身の状態によっては行える内容が制限される場合があります。期間・回数は標準的な目安で、飲み込みの状態やご希望により前後し、体調の変化などにより計画を変更・中止する場合があります。診療の効果や改善の程度には個人差があり、結果を保証するものではありません。ご不明な点はお電話(03-6459-7970)またはご相談フォームからお問い合わせください。詳しくは料金についてのページもご覧ください。

まずはご相談ください

食事の姿勢は、毎日のことだけに「このままでいいのだろうか」と迷いやすいものです。ご本人に合った姿勢は、飲み込みの状態、体の状態、ご自宅や施設の環境によって変わります。当院は、誤嚥性肺炎の患者さんに長年向き合ってきた歯科医が担当し、一般社団法人 日本誤嚥性肺炎予防協会に加盟しています。東京都世田谷区・自由が丘エリアで、ご家族の食事の姿勢やむせにご不安があるときは、まずはご相談ください。

よくあるご質問

ベッドの上で食べるとき、背もたれは何度に上げればよいですか?
国立病院機構 兵庫中央病院 リハビリテーション科の資料では、背もたれが30〜60度になるように上げることが目安として示されていますが、適した角度は一人ひとり異なり、体調によっても調整が必要な場合があるので専門職と相談するよう書かれています。日本摂食嚥下リハビリテーション学会の「訓練法のまとめ(2014版)」も、倒した姿勢が合うかどうかは単純に一般化できず、かえって飲み込みが悪くなるケースもあるとしています。角度はご家族の判断で大きく変えず、担当の医師・歯科医師や専門職にご相談ください。
食後すぐに横になってもよいですか?
日本老年医学会が専門医制度の事例集で示している症例の検討では、食後はすぐに横にならないように指導し、消化液の逆流を予防することが挙げられています。どのくらいの時間、体を起こしておくのがよいかは全身の状態や持病によって異なりますので、主治医などにご相談ください。
車椅子に座ったまま食事をしてもよいですか?
WAM NET(独立行政法人福祉医療機構)に掲載された理学療法士によるコラムでは、車椅子で食事をする場合は足をフットサポートから下ろすこと、座面の傾きをクッションなどで水平に近づけると食事の動作が楽になること、食事のときは安定した椅子(肘掛けのついたもの)に座り直すのもよいことが紹介されています。ただし、座面の調整で体が前へずり落ちやすくなる場合や、移乗に介助が必要な方などは座り直しに転倒などの危険が伴うこともありますので、ケアマネジャーやリハビリの専門職とご相談のうえで決めてください。
食事の姿勢のことを歯科に相談してもよいのでしょうか?
はい、ご相談いただけます。当院は摂食嚥下障害の診療を主軸としており、飲み込みの様子(訪問診療では実際に食べる・飲む場面を拝見します)、椅子やベッドの角度・介助の位置といった食事の環境、一口の量や食事の形、お口の状態を確認してご説明します。通院が難しい方には訪問診療という方法があり、健康保険による訪問診療は世田谷区を中心とした近隣エリア、自由診療(自費)による訪問診療は東京都・神奈川県の全域が対応の目安です。効果や改善のあらわれ方には個人差があり、結果を保証するものではありません。
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「口から食べる」を、
あきらめる前にご相談ください。

むせる・飲み込みにくい・食事の時間が長くなった——摂食嚥下障害の訪問診療について、まずはお気軽にお問い合わせください。
ご予約・ご相談は、お電話または相談フォームから承ります。

※ お電話は 080-7493-8300(携帯)でも承ります。