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食事をすると鼻水が出るのはなぜ?考えられる原因と飲み込みで確認したいサイン

食事をすると鼻水が出るのはなぜ?考えられる原因と飲み込みで確認したいサイン

「ご飯を食べ始めると、決まって鼻水が出る」「温かい汁物を飲むと、食事のあいだずっと鼻をかんでいる」——ご自身や高齢のご家族のこうした様子が気になって、調べている方もいらっしゃると思います。食事中や食後の鼻水には、熱いものや刺激の強いものを食べたときの鼻の反応として知られているものがあり、鼻水が出るというだけで、飲み込み(嚥下)の問題があると決まるわけではありません。一方で、飲んだもの・食べたものが鼻のほうへ入ってしまうことは、飲み込みの働きの変化を示すサインの一つになることがあります。

この記事では、食事のときに鼻水が出るときに考えられる原因を「鼻の反応によるもの」と「飲み込みの働きに関わるもの」に分けて、見分けるために観察したいポイントと相談先の目安を、医学文献や医療機関の資料をもとに、摂食嚥下障害の診療を主軸とする東京都世田谷区・自由が丘エリアの go-en.デンタルクリニックが整理してご説明します。

なお、物をのどにつまらせた、急な息切れや呼吸困難、顔半分が動きにくい・しびれる、ろれつがまわりにくい、突然、片方の腕や足に力が入らなくなる、突然の高熱、意識がない・もうろうとしているといった症状があるときは、様子を見ずにすぐに救急車(119番)を呼んでください(後半の「救急車(119番)をすぐ呼ぶとき」で詳しくご紹介します)。

食事中・食後の鼻水には、鼻の反応によるものがあります

熱いものや刺激の強いものを食べたときの「味覚性鼻炎」

日本医事新報社のWeb医事新報に掲載された特集「アレルギー性鼻炎のトータルマネジメント」第1章(耳鼻咽喉科医による医療者向けの解説)では、ラーメンなど熱い食物、刺激の強い食物を食べている最中に、水のような鼻水(水様性の鼻漏)が止まらなくなることがあり、これは「味覚性鼻炎」と呼ばれること、何らかの神経過敏が関与すると考えられるものの、そのしくみはまだわかっていないことが説明されています。日本口腔・咽頭科学会の学会誌に掲載された症例報告でも、味覚の刺激によって起こる水のような鼻水は「味覚性鼻漏」として知られている、と述べられています。

熱い汁物や麺類、刺激の強い料理のときに鼻水が出やすい、という場合は、こうした鼻の反応が関わっていることがあります。

高齢の方に見られる、水のような鼻水が続く「老人性鼻炎」

同じ解説(2014年掲載)では、高齢社会を背景に近年増えてきているものとして「老人性鼻炎」が挙げられ、高齢の男性に多く、大量の水のような鼻水が特徴であると説明されています。日本耳鼻咽喉科学会の会報に掲載された専門講座(2011年)でも、高齢の方では、ほかに症状がなく水のような鼻水だけを訴える例があり、「老人性鼻漏」とも呼ばれること、くしゃみや鼻づまりをともなわないことが述べられています。これらの解説は、食事のときに限った症状として書かれているものではありませんが、高齢の方の水のような鼻水の原因の一つとして知られています。

食事のときだけでなく、ふだんから水のような鼻水が出ていないかも、あわせて見てみてください。

服用している薬が関わることもあります

日本耳鼻咽喉科学会の会報の専門講座では、鼻炎の誘因となる薬剤の代表例として、降圧薬や消炎鎮痛薬などが挙げられ、緑内障の点眼治療薬も原因となることに注意したい、と述べられています。思い当たる薬があっても、自己判断で薬をやめたり減らしたりせず、主治医や薬剤師にご相談ください。お薬と飲み込みの関係については薬が飲みにくい・錠剤がのどに残るのはなぜ?服薬と嚥下(飲み込み)の関係でもご説明しています。

飲み込みの働きが関わる「鼻への逆流」

飲み込む瞬間、のどの奥では鼻への通り道が閉じています

国立病院機構 奈良医療センターの健康講座の資料では、食物がのどに触れると、軟口蓋(なんこうがい:上あごの奥のやわらかい部分)が持ち上がることで口腔と鼻腔が遮断され、さらに喉頭蓋で気管へ蓋をして、食道へと食物を送り込むしくみが説明されています。ふだんは意識することのない動きですが、飲み込むたびに、食べ物が鼻や気管へ入らないよう通り道が切り替わっています。嚥下を5つの段階に分けた考え方では、この部分は「咽頭期」にあたります。5つの段階とそれぞれのサインは「飲み込みにくい」が続くのはなぜ?嚥下の5つの段階と考えられる原因でご説明しています。

閉じ方が不十分だと、飲み物や食べ物が鼻へ入ることがあります

三和中央病院 歯科の摂食嚥下障害の解説では、鼻へと通じる部分の閉鎖が不良だと、食べ物や飲み物が鼻へ逆流し、食事の際に鼻からこぼれる可能性もあると説明されています。医学情報サイトのMSDマニュアル家庭版でも、口腔と鼻腔の間がしっかり閉じなくなる状態(鼻咽腔閉鎖機能不全)は、脳卒中などの神経の病気による筋力低下などで起こることがあり、症状として鼻にかかった声(開鼻声)などがあり、重度の場合には固形の食べものや液体が鼻から逆流することがあると説明されています。

つまり、飲み込みの働きが関わっている場合に目を向けたいのは、「水のような鼻水」そのものよりも、飲んだもの・食べたものが鼻から出てくる、話す声が鼻にかかるようになった、といった様子です。

鼻水だけで「誤嚥している」とは判断できません

食事中に鼻水が出るからといって、それだけで誤嚥している、肺炎になる、と考える必要はありません。大切なのは、以前と比べて変化が出てきていないか、ほかのサインが重なっていないかを見ることです。食後の鼻水をきっかけに、食事全体の様子を見直していく考え方は、当院の症例紹介(臨床でみられる状況を参考に構成した架空の複合症例)「食後になると鼻水が出る」― 食事中の「鼻水」から嚥下の変化を考えるでもご紹介しています。

見分けるために観察したいポイント

次のような点をメモしておくと、どこに相談するかを考えるときや、相談の際に状況を伝えるときの手がかりになります(これだけで原因が決まるものではありません)。

  • 鼻から出てくるのは水のような鼻水か、それとも飲んだもの・食べたものか
  • 熱い汁物や辛い料理など、特定の料理のときだけか、どの食事でも出るか
  • 食事のときだけか、ふだんから水のような鼻水が出ているか
  • 鼻水と一緒に、むせや咳払いが増えていないか、食後に声がかれたりガラガラしたりしないか
  • 話す声が鼻にかかるようになっていないか
  • 食事に時間がかかるようになった、食べる量や体重が減ってきた、肺炎や気管支炎をくり返している、といった様子がないか

奈良医療センターの資料でも、飲み込む前後や飲み込むときのむせ・咳き込み、飲み込んだ後に声がかれる(声が変わる)こと、食べるのに時間がかかること、肺炎や気管支炎をくり返すこと、やせた(体重が減った)ことなどが、嚥下障害の症状として挙げられています。食事中のむせについては食事中によくむせるのはなぜ?高齢のご家族に見られるサインと受診の目安もあわせてご覧ください。

どこに相談すればよい?

鼻水が中心なら、まず耳鼻咽喉科へ

熱いものや辛いものを食べたときに水のような鼻水が出る、ふだんから水のような鼻水が続いている、といった鼻の症状が中心の場合は、耳鼻咽喉科で鼻の状態を診てもらうのが基本です。鼻水の原因には、ここでご紹介したもの以外の鼻の病気もあります。

鼻への逆流や、むせ・声の変化が重なるなら、飲み込みの確認を

飲んだもの・食べたものが鼻から出てくる、むせや食後の声の変化、食事時間の延長などが重なっている場合は、飲み込みの状態を確認しておくことをおすすめします。飲み込みの相談先は、症状によって耳鼻咽喉科、内科、歯科などに分かれます。症状別の相談先の目安は飲み込みにくいときは何科?|症状別の相談先と訪問歯科でできることでまとめています。迷うときは、かかりつけ医にご相談ください。

飲んだもの・食べたものが鼻から出てくる、声が鼻にかかるといった変化が新しく出てきたときは、原因となる病気がないかを耳鼻咽喉科や主治医で確かめることも大切です。歯科の評価だけで、病気の有無を判断することはできません。

救急車(119番)をすぐ呼ぶとき

次のような症状が突然あらわれたときは、鼻水や飲み込みの問題として様子を見ずに、すぐに救急車(119番)を呼んでください。消防庁のリーフレット「救急車を上手に使いましょう」では、高齢者の「ためらわず救急車を呼んでほしい症状」として、顔半分が動きにくい・しびれる、ろれつがまわりにくい、突然、片方の腕や足に力が入らなくなる、突然の高熱、急な息切れ・呼吸困難、意識がない(返事がない)またはおかしい(もうろうとしている)、物をのどにつまらせた、などが挙げられ、そのほか「いつもと違う場合、様子がおかしい場合」も挙げられています。同じリーフレットでは、高齢者は自覚症状が出にくい場合もあるとして注意が呼びかけられています。前の項目で挙げた「むせ」「声の変化(声が鼻にかかる)」「鼻から飲み物が出てくる」も、急に始まって、顔半分が動きにくい・ろれつがまわりにくい・片方の腕や足に力が入らないといった様子をともなうとき、物をのどにつまらせて苦しそうなとき、急な息切れや呼吸困難があるときは、相談を待たずに119番です。挙げた症状がなくても、急に飲み込めなくなった、飲み物が急に鼻から出るようになったというときは、歯科の予約を待たずに、#7119(東京都)などの救急相談窓口やかかりつけ医にご相談ください。

救急車を呼ぶか迷うとき、夜間や休日にどこを受診すればよいか分からないときは、東京都にお住まいの方は、東京消防庁救急相談センター(#7119)に相談できます(24時間・365日。自動音声のあと「2」を押すと救急相談、「1」を押すと医療機関の案内につながります。対象地域は東京消防庁のページでご確認ください)。東京都以外にお住まいの方は、お住まいの地域の救急相談窓口をご確認ください。急ぎではない発熱や、痰が増えたといった肺炎が心配な症状は、まず主治医などの医療機関にご相談ください(突然の高熱、急な息切れ・呼吸困難、意識がおかしい(もうろうとしている)ときは、上のとおり119番です)。

歯科でお手伝いできること

当院は摂食嚥下障害の診療を主軸としています。食事中の鼻水やむせが気になるというご相談では、お口や歯・入れ歯の具合、舌や唇の動きを確認し、訪問診療では実際に食べる・飲む場面を拝見したうえで、飲み込みの状態を評価します。鼻の症状が中心と考えられる場合は、耳鼻咽喉科での診察をおすすめすることもあります。必要に応じて、主治医やケアマネジャーなどと情報を共有しながら進めます。なお、診療の効果や改善のあらわれ方には個人差があり、結果を保証するものではありません。摂食嚥下障害そのものについては摂食嚥下障害とはのページもご覧ください。

通院が難しい方には、訪問診療という方法があります。健康保険による訪問診療は世田谷区を中心とした近隣エリア、自由診療(自費)による訪問診療は東京都・神奈川県の全域が対応の目安です。ご自身で通院できる方は、外来(完全予約制)でも承っています。

自由診療(自費)は公的医療保険が適用されず、全額自己負担となります。自費の嚥下診療(訪問)は、ご自宅・施設へ伺って摂食嚥下の評価、嚥下訓練とご本人・ご家族への指導、お口のケアを行うもので、初回22,000円(税込)・2回目以降16,500円(税込)、標準的な4〜6回の場合、期間はおおよそ3か月程度・総額71,500円〜104,500円(税込)程度が目安です(別途、交通費の実費をいただきます)。嚥下健診(デンタルドック)は、飲み込み・お口の状態を確認し、結果にもとづくご説明・今後に向けたアドバイスを行う健診で、16,500円(税込)・当日1回で完了し、回数の目安は1回です(ご自宅・施設へ伺って受けられる場合は、別途 交通費の実費をいただくことがあります)。評価や訓練の際にまれにむせ込み・一時的な疲労・不快感が生じることがあり、全身の状態によっては行える内容が制限される場合があります。期間・回数は標準的な目安で、飲み込みの状態やご希望により前後し、体調の変化などにより計画を変更・中止する場合があります。診療の効果や改善の程度には個人差があり、結果を保証するものではありません。ご不明な点はお電話(03-6459-7970)またはご相談フォームからお問い合わせください。詳しくは料金についてのページもご覧ください。

まずはご相談ください

食事のときの鼻水は、鼻の反応として説明できることがある一方で、飲み込みの変化に気づくきっかけになることもあります。「年のせいかな」と思いながらも気になっている段階でも構いません。どんな料理のときに出るのか、鼻から出てくるのは何か、むせや声の変化が一緒にあるかを伝えていただくだけでも、確認の手がかりになります。当院は、誤嚥性肺炎の患者さんに長年向き合ってきた歯科医が担当し、一般社団法人 日本誤嚥性肺炎予防協会に加盟しています。東京都世田谷区・自由が丘エリアで、ご家族の食事中の様子にご不安があるときは、まずはご相談ください(水のような鼻水が中心のときは、耳鼻咽喉科での診察もあわせてご検討ください)。

よくあるご質問

食事のたびに鼻水が出ます。誤嚥しているのでしょうか?
鼻水が出るというだけで、誤嚥していると判断することはできません。熱いものや刺激の強いものを食べたときに水のような鼻水が出る「味覚性鼻炎」のように、鼻の反応として知られているものもあります。一方で、飲んだもの・食べたものが鼻から出てくる、むせや食後の声の変化、食事時間の延長、体重の減少、肺炎のくり返しなどが重なっている場合は、飲み込みの状態を確認しておくことをおすすめします。
食事中の鼻水は何科に相談すればよいですか?
水のような鼻水など鼻の症状が中心の場合は、耳鼻咽喉科で鼻の状態を診てもらうのが基本です。飲んだもの・食べたものが鼻から出てくる、むせや声の変化があるなど、飲み込みの変化が気になる場合は、耳鼻咽喉科や、摂食嚥下を診る歯科などで飲み込みの状態を確認できます。鼻から飲み物が出てくる、声が鼻にかかるといった変化が新しく出てきたときは、原因となる病気がないかを耳鼻咽喉科や主治医で確かめることも大切です。迷うときは、かかりつけ医にご相談ください。物をのどにつまらせた、急な息切れや呼吸困難、ろれつがまわりにくい、突然の高熱、意識がない・もうろうとしているといったときは、すぐに救急車(119番)を呼んでください。
歯科では、食事中の鼻水についてどのようなことを確認しますか?
当院では、お口や歯・入れ歯の具合、舌や唇の動きを確認し、訪問診療では実際に食べる・飲む場面を拝見したうえで、飲み込みの状態を評価します。鼻の症状が中心と考えられる場合は、耳鼻咽喉科での診察をおすすめすることもあります。診療の効果や改善のあらわれ方には個人差があり、結果を保証するものではありません。
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「口から食べる」を、
あきらめる前にご相談ください。

むせる・飲み込みにくい・食事の時間が長くなった——摂食嚥下障害の訪問診療について、まずはお気軽にお問い合わせください。
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