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お役立ちコラム

食べ物が頬や口の中に残るのはなぜ?考えられる原因と食後の口腔ケア

食べ物が頬や口の中に残るのはなぜ?考えられる原因と食後の口腔ケア

「食事のあと歯みがきを手伝ったら、頬の内側からご飯が出てきた」「上あごに食べ物が張りついたままになっている」——高齢のご家族について、身近な方がこうした様子に気づくことがあります。食べ物が頬や口の中に残るのは、噛む・まとめる・のどへ送り込むといったお口の働きや、飲み込みの変化のサインの一つです。

この記事では、食べ物が口の中に残るときに考えられる原因と、残ったままにしないための食後の確認・口腔ケアのポイント、相談の目安を、公的機関などの資料をもとに、摂食嚥下障害の診療を主軸とする東京都世田谷区・自由が丘エリアの go-en.デンタルクリニックが整理してご説明します。

なお、顔の片側がゆがむ、片側の腕や手に力が入らない、ろれつが回らない、言葉が出ないといった症状が突然あらわれたときは、お口の問題として様子を見ずに、すぐに救急車(119番)を呼んでください。厚生労働省のWEBマガジン「厚生労働」でも、こうした症状が一つでも突然起こったら脳卒中を疑い、すぐに救急車を呼ぶよう呼びかけられています。また、食べ物をのどに詰まらせて苦しそう、急な息切れや呼吸困難、突然の高熱といったときも、ためらわず119番を呼んでください(後半の「救急車(119番)をすぐ呼ぶとき」で詳しくご紹介します)。

口に食べ物が残るのは飲み込みの変化のサインの一つ

公的機関の資料でも、摂食嚥下障害の症状として挙げられています

独立行政法人 福祉医療機構が運営するWAM NETの「ケアマネジャーのしごとガイド」では、摂食・嚥下障害の主症状として、次のようなものが挙げられています(一部抜粋)。

  • 飲み込みの際にむせたり、咳き込んだりします。
  • 食べ物が口の中で引っかかったり、残ったりします。
  • 食べるのに時間がかかります。
  • 口が渇きます、または逆に唾液(だえき)が多くなります。

国立病院機構 奈良医療センターの健康講座の資料でも、嚥下障害の症状として「口から食べ物がこぼれる」「口の中に食べ物が残る」などが挙げられています。むせのように目立つ症状ではないため見過ごされやすいのですが、食後の口の中は、飲み込みの状態を知る手がかりになります。

口の中では「噛む・まとめる・送り込む」が行われています

食べ物は、噛んで唾液と混ぜ、飲み込みやすいかたまり(食塊)にまとめられたあと、舌や頬の動きでのどへ送り込まれます。嚥下を5つの段階に分けた考え方では、この部分を「準備期」「口腔期」と呼びます。どこかの働きがうまくいかないと、食べ物が頬の内側や上あご、舌の上などに残りやすくなります。5つの段階とそれぞれのサインは「飲み込みにくい」が続くのはなぜ?嚥下の5つの段階と考えられる原因でご説明しています。

食べ物が頬や口の中に残るときに考えられる原因

原因は一つとは限らず、いくつかが重なっていることもあります。ここでは、よく確認するポイントを分けてご紹介します。

1. 舌・唇・頬の動きや力が弱っている

日本歯科医学会の「口腔機能低下症に関する基本的な考え方」(令和8年3月)では、口腔機能低下症の症状として、舌や口唇の運動機能の低下、舌の筋力低下、咀嚼や嚥下機能の低下などが挙げられ、高齢者では、う蝕(むし歯)や歯周病、義歯不適合などのお口の要因に加えて、加齢や基礎疾患によっても口腔機能が低下しやすいとされています。食べ物を舌でまとめたり、頬と歯ぐきの間から押し戻したりする力が弱くなると、口の中に食べ物が残りやすくなります。

2. 歯や入れ歯の具合で、うまく噛めていない

奈良医療センターの資料では、嚥下障害の原因の一つとして「歯牙の喪失等による咀嚼力の低下」が挙げられています。歯が抜けたままになっている、入れ歯が合わない・痛い、といった状態では、食べ物を十分に噛み砕けず、まとまりにくくなります。入れ歯と歯ぐきの間や、入れ歯の内側に食べ物が入り込むこともあります。

3. 唾液が少なく、口が乾いている

厚生労働省のウェブサイトで公開されている資料(図「つば(唾液)はこんな大切な働きをしています」)では、唾液について、かみ砕かれた食べ物をまとめて飲み込みやすくすること、食べ物のかすを洗い流して口の中をきれいにすることなどが説明されています。口が乾いていると、食べ物がまとまりにくく、口の中に張りついたまま残りやすくなります。前述のWAM NETでも、口が渇くことは摂食・嚥下障害の主症状の一つに挙げられています。

4. 片側の麻痺や感覚の低下がある(いつも同じ側に残る)

脳梗塞などの後には、舌や頬の動き、感覚に左右差が出ることがあります。国立病院機構 兵庫中央病院 リハビリテーション科の資料でも、口腔ケアで汚れやすいところの一つとして「麻痺側(片麻痺のある方は動きの良くない麻痺側に汚れがたまりやすいです)」が挙げられています。毎回同じ側の頬に残る、残っていることにご本人が気づいていないといった様子は、確認しておきたいポイントです。片側だけに食べ物が残っていた例は、当院の症例紹介(臨床でみられる状況を参考に構成した架空の複合症例)「食べ物がいつも右の頬に残っている」― 脳梗塞後の「片側の食べ残し」から考える誤嚥性肺炎予防でもご紹介しています。なお、片側に残るようになったのが急で、顔のゆがみやろれつが回らないなどの症状をともなうときは、冒頭のとおりすぐに救急車(119番)を呼んでください。ほかの症状がはっきりしなくても、急に片側に残るようになった場合は、歯科への相談を待たずに医療機関にご相談ください(救急車を呼ぶか迷うときは、後半でご紹介する救急相談窓口も利用できます)。

5. 口の中に張りつきやすい食べ物を食べている

奈良医療センターの資料では、嚥下しにくい食品の例として、口腔内に粘りつくもの(若布(わかめ)・海苔・葉野菜・トマトの皮)や、バラバラになるもの(クッキー・寒天)などが挙げられ、口腔や咽頭に残留しない(べたつきがない、へばりつかない)食品を選ぶことがすすめられています。特定の食べ物のときだけ残る場合は、食べ物の性質が関わっていることもあります。

6. 認知症などで、食べ物を口の中にため込んでいる

奈良医療センターの資料では、嚥下障害の原因の一つとして認知症も挙げられています。食べ物を口に入れたまま飲み込まずにため込む、次々に詰め込む、丸のみするといった食べ方が見られる場合は、口の中に食べ物が残っていることに加えて、窒息にも注意が必要です。こうした食べ方の特徴がある方の食事の考え方は、きざみ食・ミキサー食の違いと選び方でご説明しています。

口の中に残ったままにしないほうがよい理由

お口の汚れと、誤嚥性肺炎のリスクにつながることがあります

残った食べ物は、そのままにしておくとお口の汚れのもとになります。WAM NETでは、摂食・嚥下障害で唾液や食べ物が気管に入る(誤嚥)と、窒息や誤嚥性肺炎を起こす危険があること、また、口の中が不衛生な状態で誤嚥を起こした場合、重症の肺炎に至るおそれがあることが説明されています。食後のお口を清潔に保つことは、誤嚥性肺炎の予防につながると考えられています。誤嚥性肺炎そのものについては誤嚥性肺炎とは?原因と症状、お口のケアでできる予防のことで詳しくご説明しています。

「食べ方の癖」と片づけず、変化として見てください

食べ物が残ることを、「年だから」「食べ方が雑になった」と受け止めてしまうこともあるかもしれません。ただ、以前はなかったのに残るようになった、残る量が増えてきた、いつも同じ場所に残る、といった変化は、お口や飲み込みの状態を見直すきっかけになります。食べる量が減ってきた、体重が落ちてきたといった様子が重なっている場合は、高齢者の低栄養と噛む・飲み込む力の関係もあわせてご覧ください。

食後の確認と口腔ケアの要点

食後に口の中を見ておきたい場所

兵庫中央病院 リハビリテーション科の資料では、口腔ケアで汚れやすいところとして、次の場所が挙げられ、特に意識して磨くようすすめられています。食べ物が残りやすい場所を確認するときの目安にもなります。

  • 口蓋(こうがい)=上あご
  • 口腔前庭(こうくうぜんてい)=歯列の外側、歯と頬や口唇の間
  • 歯と舌の間
  • 義歯の内側
  • 舌
  • 麻痺側(片麻痺のある方は動きの良くない麻痺側に汚れがたまりやすい)

毎食後に確認してみると、「どの食べ物のときに残りやすいか」「疲れている日に多いか」「いつも同じ側か」といった傾向が見えてくることがあります。こうした気づきは、相談の際にとても役に立ちます。

ケアをするときに気をつけたいこと

残った食べ物を取り除くときは、ご本人の様子を見ながら、無理のない方法で行ってください。指を口の奥に入れて無理にかき出そうとすると、ご本人が驚いて噛んでしまったり、食べ物をのどの奥に押し込んでしまったりするおそれがあります。口を開けるのを嫌がる、うがいが難しい、といった場合は、ご家庭だけで抱え込まず、歯科にご相談ください。歯だけでなく舌や頬の内側、上あごの粘膜まで含めた毎日のケアの方法は、高齢者の口腔ケアはなぜ大切?誤嚥性肺炎の予防と毎日のケアのコツでご紹介しています。

食べ方と食事の環境も見直してみる

奈良医療センターの資料では、嚥下に問題のある方について、食事に集中できる環境で食べること、食事に時間がかかりすぎるとかえって疲労につながること、1回の食事時間は30分が目安であることなどが示されています。一口の量が多すぎないか、テレビを見ながらなど注意がそれた状態で食べていないかも、見直してみるとよいポイントです。

同じ資料では、食塊(飲み込むときの食べ物のかたまり)がまとまって咽頭を通過しやすくするために、片栗粉・マヨネーズ・ゼラチンなどを利用するとよいことも紹介されています。ただし、どのような形やとろみが合うかは飲み込みの状態によって変わりますので、きざみ食・ミキサー食の違いと選び方もご参照のうえ、迷うときは専門職にご相談ください。

こんなときは早めにご相談を

相談の目安

食べ物が口の中に残ることに加えて、次のような様子がある場合は、お口と飲み込みの状態を一度確認しておくことをおすすめします。奈良医療センターの資料でも、むせや咳き込み、飲み込んだ後の声の変化、肺炎や気管支炎をくり返すこと、やせた(体重が減った)ことなどが、嚥下障害の症状として挙げられています。

  • 食べ物が残ることが続いている、または以前より増えてきた
  • いつも同じ側の頬に残る、残っていることにご本人が気づかない
  • 食事中や食後にむせる、食後に声がガラガラになる
  • 食事に時間がかかるようになった、食べる量や体重が減ってきた
  • 発熱をくり返す、肺炎と診断されたことがある
  • 入れ歯が合わない、痛い、外れやすい

救急車(119番)をすぐ呼ぶとき

次のような症状が突然あらわれたときは、お口の問題として様子を見ずに、すぐに救急車(119番)を呼んでください。消防庁のリーフレット「救急車を上手に使いましょう」では、高齢者の「ためらわず救急車を呼んでほしい症状」として、顔半分が動きにくい・しびれる、ろれつがまわりにくい、突然、片方の腕や足に力が入らなくなる、突然の高熱、急な息切れ・呼吸困難、物をのどにつまらせた、などが挙げられ、そのほか「いつもと違う場合、様子がおかしい場合」も挙げられています。同じリーフレットでは、高齢者は自覚症状が出にくい場合もあるとして注意が呼びかけられています。前の項目の目安にある「むせ」や「発熱」も、食べ物をのどに詰まらせて苦しそうなとき、急な息切れや呼吸困難があるとき、突然の高熱のときは、相談を待たずに119番です。

救急車を呼ぶか迷うとき、夜間や休日にどこを受診すればよいか分からないときは、東京都にお住まいの方は、東京消防庁救急相談センター(#7119)に相談できます(24時間・365日。自動音声のあと「2」を押すと救急相談、「1」を押すと医療機関の案内につながります。対象地域は東京消防庁のページでご確認ください)。東京都以外にお住まいの方は、お住まいの地域の救急相談窓口をご確認ください。急ぎではない発熱や、痰が増えたといった肺炎が心配な症状は、まず主治医などの医療機関にご相談ください。

歯科でお手伝いできること

当院は摂食嚥下障害の診療を主軸としています。食べ物が口の中に残るというご相談では、歯や入れ歯の具合、舌・唇・頬の動き、お口の乾きや汚れの残り方を確認し、訪問診療では実際に食べる・飲む場面を拝見したうえで、飲み込みの状態を評価します。そのうえで、食後のケアの方法や、一口の量・食べ方の工夫などをご本人・ご家族と一緒に考えます。必要に応じて、主治医やケアマネジャーなどと情報を共有しながら進めます。なお、診療の効果や改善のあらわれ方には個人差があり、結果を保証するものではありません。摂食嚥下障害そのものについては摂食嚥下障害とはのページもご覧ください。

通院が難しい方には、訪問診療という方法があります。健康保険による訪問診療は世田谷区を中心とした近隣エリア、自由診療(自費)による訪問診療は東京都・神奈川県の全域が対応の目安です。ご自身で通院できる方は、外来(完全予約制)でも承っています。

自由診療(自費)は公的医療保険が適用されず、全額自己負担となります。自費の嚥下診療(訪問)は、ご自宅・施設へ伺って摂食嚥下の評価、嚥下訓練とご本人・ご家族への指導、お口のケアを行うもので、初回22,000円(税込)・2回目以降16,500円(税込)、標準的な4〜6回の場合、期間はおおよそ3か月程度・総額71,500円〜104,500円(税込)程度が目安です(別途、交通費の実費をいただきます)。嚥下健診(デンタルドック)は、飲み込み・お口の状態を確認し、結果にもとづくご説明・今後に向けたアドバイスを行う健診で、16,500円(税込)・当日1回で完了し、回数の目安は1回です(ご自宅・施設へ伺って受けられる場合は、別途 交通費の実費をいただくことがあります)。評価や訓練の際にまれにむせ込み・一時的な疲労・不快感が生じることがあり、全身の状態によっては行える内容が制限される場合があります。期間・回数は標準的な目安で、飲み込みの状態やご希望により前後し、体調の変化などにより計画を変更・中止する場合があります。診療の効果や改善の程度には個人差があり、結果を保証するものではありません。ご不明な点はお電話(03-6459-7970)またはご相談フォームからお問い合わせください。詳しくは料金についてのページもご覧ください。

まずはご相談ください

食後の口の中に食べ物が残っている様子は、毎日の歯みがきや食事の介助をしているご家族だからこそ気づける変化です。「この程度で相談してよいのだろうか」と迷われる段階でも構いません。どこに、どのくらい、どんな食べ物が残るのかを伝えていただくだけでも、確認の手がかりになります。当院は、誤嚥性肺炎の患者さんに長年向き合ってきた歯科医が担当し、一般社団法人 日本誤嚥性肺炎予防協会に加盟しています。東京都世田谷区・自由が丘エリアで、ご家族の食後のお口の様子にご不安があるときは、まずはご相談ください。

よくあるご質問

食後、高齢の家族の頬の内側に食べ物が残っています。様子を見てもよいですか?
一度だけで判断せず、続いているか、以前より増えてきたか、いつも同じ側に残るかを見てください。こうした様子がある場合は、お口や飲み込みの状態を確認しておくことをおすすめします。福祉医療機構のWAM NETでも、「食べ物が口の中で引っかかったり、残ったりします」ことが摂食・嚥下障害の主症状の一つに挙げられています。なお、顔の片側がゆがむ、片側の腕や手に力が入らない、ろれつが回らないといった症状が突然あらわれたとき、食べ物をのどに詰まらせて苦しそうなとき、急な息切れや呼吸困難、突然の高熱のときは、すぐに救急車(119番)を呼んでください。
口の中に残った食べ物は、どのように取り除けばよいですか?
ご本人の様子を見ながら、無理のない方法で行ってください。指を口の奥に入れて無理にかき出そうとすると、噛まれてしまったり、食べ物をのどの奥に押し込んでしまったりするおそれがあります。上あご、歯と頬や唇の間、歯と舌の間、入れ歯の内側、舌、麻痺のある方は麻痺側が、汚れや食べ物が残りやすい場所です。口を開けるのを嫌がる、うがいが難しいといった場合は、歯科にご相談ください。食べ物をのどに詰まらせて苦しそう、声が出ないといったときは、すぐに救急車(119番)を呼んでください。
食べ物が口の中に残ることについて、歯科ではどのようなことを確認しますか?
当院では、歯や入れ歯の具合、舌・唇・頬の動き、お口の乾きや汚れの残り方を確認し、訪問診療では実際に食べる・飲む場面を拝見したうえで飲み込みの状態を評価します。そのうえで、食後のケアの方法や一口の量・食べ方の工夫などをご本人・ご家族と一緒に考えます。診療の効果や改善のあらわれ方には個人差があり、結果を保証するものではありません。
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「口から食べる」を、
あきらめる前にご相談ください。

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