認知症の家族がご飯を食べない・
口にためて飲み込まないとき
食べない理由はひとつではありません。体調やお薬、認知症の状態に加えて、お口の痛み・合わない入れ歯・飲み込みが関わっていることもあります。突然の症状は119番、体調やお薬のことはかかりつけ医(認知症の主治医)へ。口の中にためる・噛まない・むせるといったお口と飲み込みの側面は、歯科でもご相談いただけます。当院は摂食嚥下(食べる・飲み込む)を中心に取り組む歯科医院として、通院が難しい方のご自宅・施設へ伺います。
※ 突然の症状(顔や手足のまひ・ろれつ・突然の高熱・息苦しさ・のどに物をつまらせた・意識の変化など)は、歯科の予約を待たずに119番へ。当院は認知症の診断・治療、お薬の調整は行いません。本ページの説明は一般的な内容で、診療の効果・改善には個人差があり、結果を保証するものではありません。
「認知症だから仕方ない」と、あきらめていませんか
食事の様子の変化は、毎日そばにいるご家族が気づきやすいものです。次のようなご様子があれば、お口と飲み込みの側面も確かめてみましょう。
口に入れたまま、いつまでも噛んでいる・飲み込まない。頬の内側に食べ物が残っている。
食べ始めはよいのに、途中で箸が止まる。声をかけるとまた食べるが、すぐに止まる。
スプーンを近づけても口を開けない。食事や歯みがきを嫌がるようになった。
1回の食事に長い時間がかかる。後半になると疲れて、食べ残しが増える。
食事中や食後に咳こむ、声がガラガラする。痛いとは言わないのに、硬い物を避けるようになった。
食べる量が減って、体重も落ちてきた。どこに相談すればよいか分からない。
まず確かめてください:急ぐ症状はありませんか
食べないことに加えて、次のような症状が突然あらわれた場合は、すぐに119番へ。119番を呼ぶか迷うときは、救急相談窓口(#7119など)に相談できます。
emergencyこんな症状が突然あらわれたら、歯科ではなく、すぐに119番を
- 顔半分が動きにくい、しびれる
- ろれつがまわりにくい
- 突然、片方の腕や足に力が入らなくなる
- 笑うと口や顔の片方がゆがむ
- 突然の高熱
- 胸や背中の突然の激痛
- 急な息切れ、呼吸困難
- 血を吐く
- 物をのどにつまらせた
- 意識がない(返事がない)またはおかしい(もうろうとしている)
- その他、いつもと違う場合、様子がおかしい場合
出典:消防庁「救急車を上手に使いましょう~救急車 必要なのはどんなとき?~」(令和7年12月発行)の「高齢者」の項から一部を抜粋。ほかの症状も掲載されています。同じ項には「高齢者は自覚症状が出にくい場合もありますので注意しましょう。」、同じページには「迷ったら『かかりつけ医』に相談しましょう!」とも書かれています。
119番を呼ぶか迷うときは、救急相談窓口(#7119など)に相談できます。東京消防庁救急相談センター(#7119・24時間365日)では、自動音声のあと「2」を押すと救急相談、「1」を押すと医療機関の案内につながります(#7119のほか、03-3212-2323 からもつながります。2026年10月時点の東京消防庁のページで確認)。お住まいの地域の救急相談窓口は、自治体の案内もご確認ください。
上の一覧の症状がなく、食事や水分がほとんどとれない日が続く、急に食べなくなった、体重が減ってきたといった場合は、歯科の予約を待たずに、かかりつけ医(認知症の主治医)にご相談ください。ぐったりしている、いつもと様子が違うといったときは、119番や救急相談窓口(#7119など)へ。
「食べない」の背景は、ひとつではありません
認知症のある方では、飲み込む力だけでなく、食べ物を認識して食べ進めること、噛むこと、のどへ送ることのどこかでつまずいていることがあります。体調やお薬など、全身の側面が関わることもあります。いくつかが重なっていることも少なくありません。
visibility食べ物を認識して、食べ進める
食事中に周りの音や会話へ注意がそれる、目の前の料理をどう食べればよいか迷う、といったことで、途中で手が止まったり、口にためたままになったりすることがあります。食事の環境や介助の仕方で変わることもある部分です。
dentistry噛む・入れ歯・お口の痛み
合わない入れ歯、むし歯や歯ぐきの痛み、口の中の傷などがあると、噛めずに口にためる、食事を嫌がるといった形であらわれることがあります。ご本人が「痛い」と言わないこともあります。
water_drop口の乾燥・舌でのどへ送る
口の中が乾いている、舌の動きが弱くなっている、といったことで、食べ物をまとめてのどへ送りにくくなり、口の中に残りやすくなることがあります。
air飲み込む・むせる
飲み込みの始まりが遅れる、のどに残りやすい、といった変化は、食事中や食後のむせ、声の変化としてあらわれることがあります。むせない誤嚥(不顕性誤嚥)もあるため、むせないから安心とは限りません。
medical_services体調・持病・お薬
発熱などの体調の変化(突然の高熱は上の119番へ)、持病、お薬の影響などが、食欲や飲み込みに関わることもあります。全身の状態やお薬の確認・調整は、かかりつけ医(認知症の主治医)の領域です。お薬を自己判断で中止・変更なさらないでください。
psychology認知症の状態の変化
認知症の状態が変わってきたのか、ほかの原因があるのかの判断は、かかりつけ医(認知症の主治医)にご相談ください。当院は認知症の診断・治療は行いません。
挙げたのは考えられることの例で、すべてではありません。どこでつまずいているかは、お口の中と食事の様子を実際に確かめないと分かりません。飲み込みの5つの段階については摂食嚥下障害とは、むせない誤嚥については不顕性誤嚥(むせない誤嚥)とは(コラム)でご説明しています。
誰に相談する?相談先の目安
急ぐ症状がない場合の目安です。どれに当てはまるか分からないときや、いくつも当てはまるときは、まずかかりつけ医(認知症の主治医)にご相談ください。
medical_servicesかかりつけ医・認知症の主治医
食べないことに体調の変化や持病、お薬、認知症の状態の変化が関わっていないかは、ふだんのご様子を知っているかかりつけ医(認知症の主治医)に確かめていただくのが近道です。広島市が多職種の役割を整理した資料でも、かかりつけ医の役割に、全身状態の管理と、むせ・誤嚥性肺炎による発熱・食欲低下・体重減少などがないかの確認や、病状による飲み込みの悪化の評価が挙げられ、急に悪化する場合は耳鼻咽喉科への紹介を検討するとされています。
groups担当のケアマネジャーさま
介護サービスを使っている方は、食事の介助や通所先での様子も含めて相談できます。同じ資料では、居宅介護支援事業所(ケアマネジャー)の役割に「食べるのが少しでも難しいと感じた際の相談」と「歯科受診、訪問歯科診療の必要性の提案」が入っています。
location_city地域包括支援センター
介護サービスを使っていない方はこちらへ。同じ資料では、地域包括支援センターの役割として「基本チェックリストなどを用いた口腔機能における軽度障害者のスクリーニング、摂食嚥下機能評価、栄養状態の評価、その後の専門機関へのつなぎ」などが挙げられています。
dentistry歯科(お口と飲み込み)
口にためる・噛まない・入れ歯が合わない・お口の痛みや汚れ・食事中のむせは、歯科で確かめられる部分です。同じ資料では、歯科医の役割に「摂食嚥下機能評価・治療(口腔からのアプローチ)」と「訪問歯科診療」が入っています。
引用元:広島市の在宅医療介護連携推進委員会の専門委員会がまとめた「摂食嚥下・口腔ケアに関する各専門職の役割」(広島市のページ)。2026年10月に原文を確認し、「摂食嚥下障害あり(軽度)」「摂食嚥下障害なし(予防)」の表から引いています。広島市での連携のための整理で、ほかの地域の窓口や体制が同じとは限りません。資料には、耳鼻咽喉科医・言語聴覚士・薬剤師・管理栄養士・看護師などの役割も挙げられています。とくに作業療法士の役割には「認知機能と摂食嚥下機能との関係の評価と助言」が入っています。ここに挙げた相談先は目安で、診断を示すものではありません。
訪問歯科で確かめる「お口と飲み込み」のこと
当院は歯科医院です。ご本人の様子を見ながら、無理のない範囲で、お口と飲み込みの側面から「食べる」を支えるお手伝いをします。実施できる内容は、ご本人の状態やご希望、保険・自費の別によって異なります。
dentistryお口の中を確かめる
むし歯や歯ぐきの痛み、口の中の傷、入れ歯の合い具合、汚れや乾燥を確かめます。訪問先で対応できる範囲で、入れ歯の調整やむし歯・歯周病の治療も行います。
restaurant食事の様子を見る
可能であれば、ふだんの食事の場面を拝見し、一口の量やペース、食べ進め方、姿勢、食卓の環境、食後に口の中に残っていないかなどを確かめます。
stethoscope飲み込みの評価
舌や頬の動き、むせ方などを確かめます。必要に応じて、嚥下内視鏡検査(VE)・嚥下エコーによる評価もご相談いただけます(実施の可否はご本人の状態や環境により判断します)。
restaurant_menu食べ方・食事の環境の助言
確かめた内容をもとに、一口の量や介助のペース、食事の形、食卓の環境などについて、ご家族や介護にあたる方に助言します。食事の形の考え方は「きざみ食・ミキサー食の選び方」のページでもご説明しています。
cleaning_services口腔ケア
お口の汚れや乾燥は、飲み込みや誤嚥性肺炎とも関わると考えられています。食後に口の中に残った物の確かめ方や、歯みがきを嫌がる場合の進め方も含めて、ご家族が続けやすいケアの方法をお伝えします。
handshake関わる方々との共有
お口と食事の様子で確かめたことは、ご家族の了解のうえで、かかりつけ医(認知症の主治医)の先生や担当のケアマネジャーさま、施設のご担当者さまにもお伝えし、全身の側面の確認につなげます。
※ 歯科でできないこと。当院は認知症の診断・治療は行いません。体調の変化や全身の病気の診断・治療は医科の領域です。お薬の調整も当院では行いません(自己判断で中止・変更なさらず、主治医の先生・薬剤師にご相談ください)。ご本人の状態によっては、お口の中を十分に診られない、予定していた評価ができないこともあります。診療の効果・改善には個人差があり、結果を保証するものではありません。
相談する前に、メモしておくと役立つこと
分からない項目があっても構いません。かかりつけ医・ケアマネジャーさま・歯科のどこに相談するときも役立ちます。
いつから・どう変わったか
気づいた時期と、急に変わったのか、少しずつ変わってきたのか。最近の発熱や体重・食事量・水分量の変化。
食事のどの場面で止まるか
食べ始めない、途中で手が止まる、口にためる、噛み続ける、むせる。どの食べ物・飲み物で多いか、時間帯で違うか。
持病とお薬
持病、これまでの入院、お薬手帳。最近お薬が変わったか。お薬の調整は主治医の先生が行います。
お口の状態と、ふだんの過ごし方
入れ歯の有無と合い具合、歯や口を触られるのを嫌がるか。食事の場所や介助の有無、介護サービスの利用、担当のケアマネジャーさま。
担当のケアマネジャーさま、施設のご担当者さま、病院の医療ソーシャルワーカーさまからのご連絡も承ります。ご相談から診療までの流れは診療の流れをご覧ください。
通院が難しい方はご自宅・施設へ伺います
ふだん食事をしている場所・姿勢のままで確かめられる場合があるのが、訪問診療の利点です。どちらが適しているかはご相談のうえで決めましょう。
health_and_safety訪問診療(健康保険)
通院が難しい方のご自宅・施設へ伺い、健康保険が適用される範囲で診療を行います。対象は世田谷区を中心とした近隣エリアが目安です。診療内容に応じた保険点数のほか、交通費等が別途かかる場合があります。
home_health訪問診療(自由診療・自費)
時間をかけた評価・指導をご希望の場合の選択肢で、全額自己負担となります。状態の変化をみながら再評価を行い、進め方を調整します。対応エリアは東京都・神奈川県の全域が目安です(全国への対応は行っておりません)。費用・リスクは下記をご確認ください。
directions_walk外来(完全予約制)
通院できる方は、東京都世田谷区奥沢(自由が丘エリア)の当院で、お口と飲み込みの状態を確かめます。完全予約制です。
エリア別のご案内(訪問歯科)
費用の考え方
健康保険を用いた診療の場合、窓口でのご負担は法令にもとづく自己負担割合です。自由診療(自費)をご希望の場合は、次の費用となります。
自由診療(自費)の費用・期間・回数
- 診療の内容
- 訪問による摂食嚥下(食べる・飲み込む)の評価、嚥下訓練とご本人・ご家族への指導、お口のケア。状態の変化をみながら再評価を行い、進め方を調整します。
- 費用
-
初回22,000円(税込)
2回目以降16,500円(税込)
標準的な4〜6回の場合、総額 71,500円〜104,500円(税込)程度
(初回1回+2回目以降3〜5回の場合) - 期間の目安
- おおよそ3か月程度
- 回数の目安
- おおよそ4〜6回程度
※ 別途、交通費(公共交通機関の運賃・駐車場代等)の実費をいただきます。
※ 表示はすべて税込です。期間・回数は標準的な目安で、飲み込みの状態やご希望により前後します。初回の評価のうえで見通しをご説明し、ご納得いただいてから進めます。上記以外の費用が生じる場合は、事前にご説明します。
info自由診療の主なリスク・副作用(重要)
- 自由診療(自費)は公的医療保険が適用されず、全額自己負担となります。
- 嚥下・お口の評価や訓練の際に、まれにむせ込み・一時的な疲労・不快感などが生じることがあります。
- 飲み込みの状態や全身の状態によっては、行える診療の内容や範囲が制限される場合があります。
- 診療の効果や改善の程度には個人差があり、結果を保証するものではありません。
- 体調の変化などにより、計画を変更・中止する場合があります。
気になる点は遠慮なくご質問ください。ご不安を解消したうえで、ご納得いただける範囲で診療を進めます。
保険の訪問診療の点数と自己負担の目安は訪問歯科の料金表でご説明しています。ご不明な点は 03-6459-7970 または相談フォームへお問い合わせください。
正直にお伝えすること
info「また食べられるようになります」とは申し上げません
- 食べない理由は、お口や飲み込みだけでなく、体調・持病・お薬・認知症の状態など、さまざまです。歯科だけで原因が分かるとは限りません
- 認知症は進行することのある病気で、食べ方や飲み込みの状態も時間とともに変わることがあります。評価や助言で必ず食べられるようになるとは限りません
- 当院は認知症の診断・治療、お薬の調整は行いません。全身の状態やお薬のことは、かかりつけ医(認知症の主治医)にご相談ください
- ご本人の状態によっては、お口の中を十分に診られない、予定していた評価ができない、日を改める、といったことがあります
- 評価や訓練の際に、まれにむせ込み・一時的な疲労・不快感などが生じることがあります。食事の工夫や介助には、誤嚥(食べ物などが気管に入ること)のおそれも伴います
医学的な判断は個々の状態により異なります。治療方針は、主治医の先生や関わる専門職の方々とご相談ください。診療の効果・改善には個人差があり、結果を保証するものではありません。
食事の様子の変化から始まった症例紹介(複合症例)
「食べなくなった」「口にためる」「口腔ケアを嫌がる」といった変化をきっかけに、評価をもとにどう関わっていくかを、実際の診療でよくみられる経過をもとに当院が構成した複合症例でご紹介しています。
※ 実際の診療でよくみられる経過をもとに当院が構成した複合症例で、特定の患者さまの記録ではありません。診療の効果や経過には個人差があり、同様の結果を保証するものではありません。症例紹介の一覧はこちら。
あわせてご覧ください
よくあるご質問
認知症の家族がご飯を食べません。どこに相談すればよいですか?
口の中にためたまま、なかなか飲み込みません。なぜですか?
認知症の人でも、歯科で飲み込みを診てもらえますか?
口を開けてくれない、診てもらうのを嫌がりそうで心配です。
食べないときは、無理にでも食べてもらったほうがよいですか?
本人が通院できません。家に来てもらえますか?
ケアマネジャーや施設の職員から相談してもよいですか?
費用はどのくらいかかりますか?
対応しているエリアを教えてください。
本ページの記載は、次の資料にもとづいています(2026年10月時点)。
広島市「摂食嚥下・口腔ケアに関する各専門職の役割」(広島市在宅医療介護連携推進委員会「摂食嚥下・口腔ケア対応力の向上に向けた多職種連携の体制づくりの検討」専門委員会)/消防庁「救急車を上手に使いましょう~救急車 必要なのはどんなとき?~」(令和7年12月発行)/東京消防庁「救急相談センター」。
記載は一般的な説明であり、個々の方の診断・治療方針を示すものではありません。治療方針は主治医の先生や関わる専門職の方々とご相談ください。診療の効果・改善には個人差があり、結果を保証するものではありません。
「食べない」「口にためる」のご相談は、
歯科にも。
ご本人・ご家族はもちろん、担当のケアマネジャーさま、施設のご担当者さま、病院の医療ソーシャルワーカーさまからのご連絡も承ります。お口と飲み込みの側面からお手伝いします(体調やお薬、認知症の状態のことは、かかりつけ医にもご相談ください)。
go-en.デンタルクリニック|〒158-0083 東京都世田谷区奥沢5-31-17 ARBOS 1-B
※ 突然の症状(顔や手足のまひ・ろれつ・突然の高熱・息苦しさ・のどに物をつまらせた・意識の変化など)は、歯科の予約を待たずに119番へ。当院は認知症の診断・治療、お薬の調整は行いません。診療の効果・改善には個人差があり、結果を保証するものではありません。